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エリオットが粥を食べ終えると、ドリスは粥の鍋と空になった容器をお盆に回収し「失礼します」と一礼して部屋を後にした。
静かになった部屋の中心で、サードは指を遊ばせるように手を組み、エリオットと向き合う。
「……まず、エリオット。あなたが川に流されるまでの経緯を教えてくれますか」
エリオットは静かに頷き、テロウ村で起きた出来事を話した。
ファズガル教団の来襲、結界塔での出来事、そしてハナトキの森を燃やした黒い炎と魔竜軍。
「教団が橋を壊して、待ち伏せしてたんだ。それで、俺とジェイは橋ごと川から落とされて……」
「そうでしたか……」
話している内に、エリオットの声は震えていた。
叔父は悲痛なエリオットの様子に目を伏し、組んでいた両手に爪が食い込みそうなほど力を入れる。
「ねえ、叔父さん。テロウ村はどうなったの? 他の人は、どこにいるの?」
エリオットの問いに、サードは深呼吸する。
「どうか、落ち着いて聞いてください」
それはまるで、叔父が自身に言い聞かせる言葉のようでもあった。
そう前置きをした叔父の表情から、決して吉報でない事を察し、エリオットは硬く唇を結ぶ。
「テロウ村と周辺の森は、魔竜の黒炎によって焼け落ち、跡形も無くなっていたと報告がありました」
「そんな……」
「村には唯一、これだけが残っていたそうです」
サードは精霊石の置かれた机の引き出しから、銀の拳銃を取り出す。
「それは、父さんの!」
父がいつも肌身離さず愛用していた拳銃だった。
「銀の魔銃ロベリオル――聖銀で造られたこれだけが、焼け跡に残っていたそうです」
「と、父さんは……?」
叔父は頭を横に振る。
「生存者についてはダイディヴィス全体に捜索令が出されましたが、テロウ村に近いヘンザやバルシアでは、この二日で見つからなかったと」
エリオットは落胆し、肩を落とす。
避難場所として定められていたヘンザにも、バルシアにも居ないのなら、父や母、兄、村の人達はどこへ行ってしまったというのだろうか。
つい最近まで、緑が生い茂り、木漏れ日が優しかった村の風景を思い出す。
村人たちの表情のひとつひとつさえ、瞼を閉じれば明瞭に思い出せるほど褪 せてはいない記憶だ。
「エリオット」
叔父の声がエリオットの意識を現実に引き戻す。
「私も……兄は、エルドは、容易く死ぬような人だとは思えません。今はどこかに身を寄せていて、落ち着いた頃に顔を見せるかもしれません」
サードはそう言って、持っていた銀の銃をエリオットの手の中へ渡す。
「信じて待ちましょう。それまで、これはあなたが持っていてください」
「うん……」
――その後、エリオットは家族とテロウの村人達の無事と再会を願いながら叔父のもとで暮らした。
しかし、待てどもエリオットのもとにテロウ村の生存者の報せが届く事は無かった。
五年の月日が経ち、十七歳の誕生日を迎えたエリオットは、初めてテロウ村跡地へと足を運んだ。
そこには黒く焦げた痕跡と新しく芽吹いた緑が広がるばかりで、かつて見慣れた故郷の面影はどこにも無かった。
エリオットは村の中央であった場所に建てられた真新しい石造りの慰霊碑の前に花束を添え、顔の前で手を組んで祈りを捧げる。
「みんな……俺、強くなってみせるから」
エリオットは腰ベルトの拳銃嚢に下げた父の形見の拳銃に触れ、拳銃嚢から引き抜いて手に取る。
銀の銃は太陽の光を反射し、優しく閃 いた。
静かになった部屋の中心で、サードは指を遊ばせるように手を組み、エリオットと向き合う。
「……まず、エリオット。あなたが川に流されるまでの経緯を教えてくれますか」
エリオットは静かに頷き、テロウ村で起きた出来事を話した。
ファズガル教団の来襲、結界塔での出来事、そしてハナトキの森を燃やした黒い炎と魔竜軍。
「教団が橋を壊して、待ち伏せしてたんだ。それで、俺とジェイは橋ごと川から落とされて……」
「そうでしたか……」
話している内に、エリオットの声は震えていた。
叔父は悲痛なエリオットの様子に目を伏し、組んでいた両手に爪が食い込みそうなほど力を入れる。
「ねえ、叔父さん。テロウ村はどうなったの? 他の人は、どこにいるの?」
エリオットの問いに、サードは深呼吸する。
「どうか、落ち着いて聞いてください」
それはまるで、叔父が自身に言い聞かせる言葉のようでもあった。
そう前置きをした叔父の表情から、決して吉報でない事を察し、エリオットは硬く唇を結ぶ。
「テロウ村と周辺の森は、魔竜の黒炎によって焼け落ち、跡形も無くなっていたと報告がありました」
「そんな……」
「村には唯一、これだけが残っていたそうです」
サードは精霊石の置かれた机の引き出しから、銀の拳銃を取り出す。
「それは、父さんの!」
父がいつも肌身離さず愛用していた拳銃だった。
「銀の魔銃ロベリオル――聖銀で造られたこれだけが、焼け跡に残っていたそうです」
「と、父さんは……?」
叔父は頭を横に振る。
「生存者についてはダイディヴィス全体に捜索令が出されましたが、テロウ村に近いヘンザやバルシアでは、この二日で見つからなかったと」
エリオットは落胆し、肩を落とす。
避難場所として定められていたヘンザにも、バルシアにも居ないのなら、父や母、兄、村の人達はどこへ行ってしまったというのだろうか。
つい最近まで、緑が生い茂り、木漏れ日が優しかった村の風景を思い出す。
村人たちの表情のひとつひとつさえ、瞼を閉じれば明瞭に思い出せるほど
「エリオット」
叔父の声がエリオットの意識を現実に引き戻す。
「私も……兄は、エルドは、容易く死ぬような人だとは思えません。今はどこかに身を寄せていて、落ち着いた頃に顔を見せるかもしれません」
サードはそう言って、持っていた銀の銃をエリオットの手の中へ渡す。
「信じて待ちましょう。それまで、これはあなたが持っていてください」
「うん……」
――その後、エリオットは家族とテロウの村人達の無事と再会を願いながら叔父のもとで暮らした。
しかし、待てどもエリオットのもとにテロウ村の生存者の報せが届く事は無かった。
五年の月日が経ち、十七歳の誕生日を迎えたエリオットは、初めてテロウ村跡地へと足を運んだ。
そこには黒く焦げた痕跡と新しく芽吹いた緑が広がるばかりで、かつて見慣れた故郷の面影はどこにも無かった。
エリオットは村の中央であった場所に建てられた真新しい石造りの慰霊碑の前に花束を添え、顔の前で手を組んで祈りを捧げる。
「みんな……俺、強くなってみせるから」
エリオットは腰ベルトの拳銃嚢に下げた父の形見の拳銃に触れ、拳銃嚢から引き抜いて手に取る。
銀の銃は太陽の光を反射し、優しく
序幕【完】
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🐦⬛からすの後書きコーナー
序幕完結までお付き合いいただきありがとうございました!
エリオットの復讐物語「蒼黒の銃使い」は第一幕から本格始動という事になります。
「俺たちの戦いはここからだ!~完」で終わらないように第一幕の執筆も続けていきたい所存です。
第一幕の執筆期間を三ヶ月ほどいただきまして、4月からの連載を予定しています。
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