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「緊急以外、仲介所の受付は雷の刻(八時)まで閉じているから、テテロトキスの河原に案内するよ」
「そうね。あたしも精霊術の使い手として、精霊の集まる場所には興味があるわ」
さっきまでの険悪な空気が嘘だったかのようにエリオットの提案にレディはすんなりと頷き、二人は神殿の敷地を出て北門の方へ歩き出した。
テテロトキスの河原はウェストワール山脈からアニアカデ海へ向かって流れるシーラ川の一端で、ネジュアから北に一キロメートルほど歩いた場所にある。
テテロトキス、という名称はアミヤ語で「旅人の休息地」という意味を持ち、その由来は古来からこの付近に生息するローシエという希少な植物が魔力を吸収する特性から魔物を寄せ付けないため、人間や動物達にとって魔物の脅威のない安全地帯だった事からきている。
テテロトキスの河原に精霊が集うのはローシエが蓄 えた魔力のためである。
ネジュアはローシエの群生地としてこの河原を保護しており、この地を精霊の聖地として神殿に管理を任せ神殿に所属する聖騎士が人の出入りを監視し厳重に管理している。
とはいえ、無許可での植物採収や土地を荒らす行為がない限りは神官以外の一般人でも普段から自由に散策が可能で、ネジュアの観光や恋人のデート地としても有名な場所だ。
エリオットとレディの二人が河原に着いてからも、まだ早朝にも関わらず、白銀の鎧を着た聖騎士以外に河原周辺を散歩する人の姿が見られた。
エリオットは河原の向こう岸で風に揺れる白く可憐 な花の蕾 を指して、レディに説明する。
「毎年秋になると、ここで俺たち精霊神官が決められた量だけローシエを収獲して、魔除けを作る事になってる」
「ふぅん……こんなにローシエが群生しているのは初めて見たわ。レティアローではほとんど鉢に植えて収獲するくらいだもの」
レディの出身地レティアローの神殿でも、神官がローシエの花を用いて魔除けを作るのは共通しているという。
世界的に見ても、ここのようにローシエが自然と群生する場所は数少なく、環境の変化や土地開発によって年々自生するローシエが減っていっているため、人工栽培が主流になっている。
ローシエは多くの病の治療薬としても使われるが、用途によっては劇薬にもなるため、取り扱いは専用の免許を持った薬師や医師、神官に限られ、無許可で持ち出したり園芸用として植える事は罰則の対象とされる。
河原のローシエは近付けないように川の向かいから見るように歩いても良い場所が舗装されており、ローシエのある川の向こう側にも柵がされ、聖騎士が見張るようになっている。
「精霊の聖地、だなんて呼ばれてて大袈裟だと思ったけど、本当にここには精霊が集まってるのね」
レディは河原のあちこちに目くばせして言う。
「精霊が見えるのか?」
エリオットは驚いた。
精霊術師でも精霊が見えるのは魔力を渡す術の発動時が主で、それ以外はよほど精霊との共鳴関係が進んでいなければ難しいからだ。
レディはネジュアに来て間もないため、この土地の精霊と共鳴関係にあるわけではないだろう。
五年間でこの辺りの精霊と共鳴関係を結んだエリオットでさえも、最近ようやく安定して術の発動時に精霊が見えるようになった程度である。
レディはエリオットに得意気に笑って見せた。
「言ったでしょ。あたしも由緒正しいシャルアロー家の一人だもの。加護だって持ってるんだから」
正直、エリオットは今でも彼女の家系がフェアリィナ神の血を引く家系という話は眉唾だと思っているが、その話が真実でないにしろ、彼女がレティアローの国を代表する巫女の家系である事は間違いないのだろうと認めた。
「ここには光と水、風の精霊が多いみたい」
精霊を目で追うレディは無邪気に微笑み、時折、手を宙に差し出して精霊と交流する仕草を見せる。
その表情は人と話している時よりも柔らかで自然体のようだった。
(喧嘩腰じゃなければ可愛いのにな)
エリオットはレディの穏やかな横顔を見つめてぽつりとそう思った。
「そうね。あたしも精霊術の使い手として、精霊の集まる場所には興味があるわ」
さっきまでの険悪な空気が嘘だったかのようにエリオットの提案にレディはすんなりと頷き、二人は神殿の敷地を出て北門の方へ歩き出した。
テテロトキスの河原はウェストワール山脈からアニアカデ海へ向かって流れるシーラ川の一端で、ネジュアから北に一キロメートルほど歩いた場所にある。
テテロトキス、という名称はアミヤ語で「旅人の休息地」という意味を持ち、その由来は古来からこの付近に生息するローシエという希少な植物が魔力を吸収する特性から魔物を寄せ付けないため、人間や動物達にとって魔物の脅威のない安全地帯だった事からきている。
テテロトキスの河原に精霊が集うのはローシエが
ネジュアはローシエの群生地としてこの河原を保護しており、この地を精霊の聖地として神殿に管理を任せ神殿に所属する聖騎士が人の出入りを監視し厳重に管理している。
とはいえ、無許可での植物採収や土地を荒らす行為がない限りは神官以外の一般人でも普段から自由に散策が可能で、ネジュアの観光や恋人のデート地としても有名な場所だ。
エリオットとレディの二人が河原に着いてからも、まだ早朝にも関わらず、白銀の鎧を着た聖騎士以外に河原周辺を散歩する人の姿が見られた。
エリオットは河原の向こう岸で風に揺れる白く
「毎年秋になると、ここで俺たち精霊神官が決められた量だけローシエを収獲して、魔除けを作る事になってる」
「ふぅん……こんなにローシエが群生しているのは初めて見たわ。レティアローではほとんど鉢に植えて収獲するくらいだもの」
レディの出身地レティアローの神殿でも、神官がローシエの花を用いて魔除けを作るのは共通しているという。
世界的に見ても、ここのようにローシエが自然と群生する場所は数少なく、環境の変化や土地開発によって年々自生するローシエが減っていっているため、人工栽培が主流になっている。
ローシエは多くの病の治療薬としても使われるが、用途によっては劇薬にもなるため、取り扱いは専用の免許を持った薬師や医師、神官に限られ、無許可で持ち出したり園芸用として植える事は罰則の対象とされる。
河原のローシエは近付けないように川の向かいから見るように歩いても良い場所が舗装されており、ローシエのある川の向こう側にも柵がされ、聖騎士が見張るようになっている。
「精霊の聖地、だなんて呼ばれてて大袈裟だと思ったけど、本当にここには精霊が集まってるのね」
レディは河原のあちこちに目くばせして言う。
「精霊が見えるのか?」
エリオットは驚いた。
精霊術師でも精霊が見えるのは魔力を渡す術の発動時が主で、それ以外はよほど精霊との共鳴関係が進んでいなければ難しいからだ。
レディはネジュアに来て間もないため、この土地の精霊と共鳴関係にあるわけではないだろう。
五年間でこの辺りの精霊と共鳴関係を結んだエリオットでさえも、最近ようやく安定して術の発動時に精霊が見えるようになった程度である。
レディはエリオットに得意気に笑って見せた。
「言ったでしょ。あたしも由緒正しいシャルアロー家の一人だもの。加護だって持ってるんだから」
正直、エリオットは今でも彼女の家系がフェアリィナ神の血を引く家系という話は眉唾だと思っているが、その話が真実でないにしろ、彼女がレティアローの国を代表する巫女の家系である事は間違いないのだろうと認めた。
「ここには光と水、風の精霊が多いみたい」
精霊を目で追うレディは無邪気に微笑み、時折、手を宙に差し出して精霊と交流する仕草を見せる。
その表情は人と話している時よりも柔らかで自然体のようだった。
(喧嘩腰じゃなければ可愛いのにな)
エリオットはレディの穏やかな横顔を見つめてぽつりとそう思った。
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8月8日更新予定
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レディちゃんは単純に人間嫌いな部分もあるので、精霊と接している時は本当に可愛いです。
エリオットがここでキュン💕しちゃうのはギャップ萌えというやつなんでしょうか。
とにかくレディちゃんの可愛いを数行で表現したかった回でした!
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