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森を抜け、エリオットは村へと辿り着くが、建物に遮 られジェイとルイスの姿を見失ってしまった。
エリオットは目的地が分かっている以上、自分の体力的にも無理があると理解した上で二人に追い付く事を一旦諦め、走る速度を落として辺りを見て回る内に、ふと、母が心配になってエリオットは急いで自宅に向かう。
「母さん!」
勢い良く玄関の扉を開け、大声で呼び掛けるが返事は無かった。
一階の台所、二階の部屋、裏庭、全て見たがどこにも母の姿は無い。
エリオットは不安になった。
周辺の住人の姿すら見当たらない事から、緊急時の集合場所となっている広場に行ったのかもしれないと、広場を目指して走る。
村の広場には狙い通り人が集まっていたが、騒然としており、いつもののどかな空気はどこにも無かった。
広場の一端には広がった血痕と、その周囲には暗い表情をした大人達が集まっていた。
中には、刃物で切り裂かれたような怪我をしている者もおり、その痛々しさにエリオットは顔を歪める。
「エリオット! 良かった、無事だったのね」
「母さん!」
広場の西側から歩いて来たルイーズは、エリオットの姿を見るなり駆け寄って、抱き締めた。
怪我ひとつ無い母ルイーズの姿にエリオットは安堵し、母を抱き締め返す。
「痛いよ母さん」
きつく抱き締める母の腕を引き離そうとするが、母は抱き締める腕の力を緩めない。
「エリオットは、どこにも行かないわよね? お願いだから、お母さんと一緒にいてちょうだい」
そう話す母の表情は不安に満ちていた。母の歩いて来た方向から、塔へ向かうルイスに遭遇し引き留めようとしたのだろう。
母の歩いて来た方向から、母は塔へ向かうルイスに遭遇し引き留めようとしたのだろう。
エリオットは一瞬でもジェイと兄の事を失念していた事に気付いて母の腕を振り解く。
「ジェイと兄ちゃんを追わなきゃ!」
母はそう言って西へ向かおうとするエリオットの手首をすかさずに掴んで引き留める。
「行かないで!」
母は声を荒げた。
エリオットは困った表情で母を見つめる。
「……エリオットまでいなくなるなんて、母さん、耐えられない」
母の目には涙が浮かんでいた。エリオットは母の訴える姿に弱って、母の掴む手に抵抗しようとしていた腕の力を落とす。
「みんなの事は、お父さんと傭兵さんに任せて待ちましょう。精霊術が使えたとしても、まだあなたは子供なのよ。危ないだけだわ」
母の言う事はもっともだ。
父やヴァイス、傭兵達は戦いに秀でた大人で、子供の自分が行ったところで無力だと、エリオットは心のどこかで分かっていた。
兄の足の速さなら、ジェイに追いついて引き留める事に成功しているかもしれない。そうじゃなくても、塔に向かった大人達が二人を止めて、村に戻って来てくれるかもしれない。
「でも……」
それでも、エリオットはじっとしている事ができなかった。
このまま何もせず待っているだけだと、もう二度とジェイと会えなくなってしまうのではないかという、根拠のない思いがエリオットを突き動かした。
「母さん、ごめんなさい!」
「エリオット!」
エリオットは母の手を振り解き、感情に任せて西へと駆け出した。
――西の森の入口付近の地面には、血痕が点々と散らばっていた。
エリオットは目的地が分かっている以上、自分の体力的にも無理があると理解した上で二人に追い付く事を一旦諦め、走る速度を落として辺りを見て回る内に、ふと、母が心配になってエリオットは急いで自宅に向かう。
「母さん!」
勢い良く玄関の扉を開け、大声で呼び掛けるが返事は無かった。
一階の台所、二階の部屋、裏庭、全て見たがどこにも母の姿は無い。
エリオットは不安になった。
周辺の住人の姿すら見当たらない事から、緊急時の集合場所となっている広場に行ったのかもしれないと、広場を目指して走る。
村の広場には狙い通り人が集まっていたが、騒然としており、いつもののどかな空気はどこにも無かった。
広場の一端には広がった血痕と、その周囲には暗い表情をした大人達が集まっていた。
中には、刃物で切り裂かれたような怪我をしている者もおり、その痛々しさにエリオットは顔を歪める。
「エリオット! 良かった、無事だったのね」
「母さん!」
広場の西側から歩いて来たルイーズは、エリオットの姿を見るなり駆け寄って、抱き締めた。
怪我ひとつ無い母ルイーズの姿にエリオットは安堵し、母を抱き締め返す。
「痛いよ母さん」
きつく抱き締める母の腕を引き離そうとするが、母は抱き締める腕の力を緩めない。
「エリオットは、どこにも行かないわよね? お願いだから、お母さんと一緒にいてちょうだい」
そう話す母の表情は不安に満ちていた。母の歩いて来た方向から、塔へ向かうルイスに遭遇し引き留めようとしたのだろう。
母の歩いて来た方向から、母は塔へ向かうルイスに遭遇し引き留めようとしたのだろう。
エリオットは一瞬でもジェイと兄の事を失念していた事に気付いて母の腕を振り解く。
「ジェイと兄ちゃんを追わなきゃ!」
母はそう言って西へ向かおうとするエリオットの手首をすかさずに掴んで引き留める。
「行かないで!」
母は声を荒げた。
エリオットは困った表情で母を見つめる。
「……エリオットまでいなくなるなんて、母さん、耐えられない」
母の目には涙が浮かんでいた。エリオットは母の訴える姿に弱って、母の掴む手に抵抗しようとしていた腕の力を落とす。
「みんなの事は、お父さんと傭兵さんに任せて待ちましょう。精霊術が使えたとしても、まだあなたは子供なのよ。危ないだけだわ」
母の言う事はもっともだ。
父やヴァイス、傭兵達は戦いに秀でた大人で、子供の自分が行ったところで無力だと、エリオットは心のどこかで分かっていた。
兄の足の速さなら、ジェイに追いついて引き留める事に成功しているかもしれない。そうじゃなくても、塔に向かった大人達が二人を止めて、村に戻って来てくれるかもしれない。
「でも……」
それでも、エリオットはじっとしている事ができなかった。
このまま何もせず待っているだけだと、もう二度とジェイと会えなくなってしまうのではないかという、根拠のない思いがエリオットを突き動かした。
「母さん、ごめんなさい!」
「エリオット!」
エリオットは母の手を振り解き、感情に任せて西へと駆け出した。
――西の森の入口付近の地面には、血痕が点々と散らばっていた。
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🐦⬛からすの後書きコーナー
直感で動く、それが主人公な気がしてます。
主人公って第六感みたいなのが働いたり、運が良かったり、その他でも平凡そうだけど実はすごい能力持ってる、みたいなところありますよね。ない???
ちょっと物語がシリアスモード入ってるので、後書きだけでも明るくしたいからすです。
……え?空気壊すからやめろって?
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