⚠注意⚠
この回は文章中に以下の表現が含まれます苦手な方はご注意ください
含まれる表現
死を連想させる描写
エリオットは西の森を駆け、結界塔の手前まで辿り着く。
階段を上った先に結界塔の入口があるところで、思いっ切り走ったせいで乱れた呼吸を整えようと、近くの木に寄りかかる。
塔からは声や衝撃音が響いてくるが、エリオットのいる場所からは何が起きているのかはっきりと知る事はできない。
時折聞こえる金属と金属がぶつかり合う甲高い音は剣戟 のもののようで、殺伐とした気配が漂う。
もし、父やヴァイスがファズガル教団と塔の内部で戦っているのだとしたら、向かった兄とジェイがそこにいるのだとしたら……エリオットの脳裏に、最悪の事態が過 った。
エリオットはひとまず落ち着こうと息を思いっ切り吸う。
……すると、錆びた鉄のような臭いが鼻をついた。一瞬にして、ひやりと体中が冷える。
エリオットは臭いのする方へ、ゆっくりと歩く。
塔の外側には人の気配は無いが、階段を一歩、二歩。足を進める度に、鉄錆びた臭いがはっきりとしてくる。
階段を上りきった所でエリオットが見た光景は酷いものだった。
そこには、横たわる人の姿。
塔の周辺の石畳の上に、見知った村の大人が二人、武装した傭兵らしき人物が三人、血塗れでぴくりとも動かない。
他にはファズガル教団のものであろう黒い竜の紋章が縫いつけられた黒の法衣の人物が、十人ほど横たわっている。そのいずれもが竜を模した黒い仮面を着けており、素顔は分からない。
エリオットは凄惨 な光景に目を逸らす。
兄とジェイは本当にここへ来たのだろうか、ひょっとすると、自分の早とちりで二人は村に居るのではないかと思いを巡らせる。
引き返そう。
そう思った時、塔からひと際激しい剣戟の音が鳴り響き、エリオットは塔へと視線を移す。
「はなせ!」
その時、塔の内部に反響した声は確かにジェイのものだった。
――やはり、ジェイはここに居る。
そう確信したエリオットは拳を握り締め、開け放たれた塔の入口をくぐり、恐る恐る塔の内部へと足を踏み入れた。
階段を上った先に結界塔の入口があるところで、思いっ切り走ったせいで乱れた呼吸を整えようと、近くの木に寄りかかる。
塔からは声や衝撃音が響いてくるが、エリオットのいる場所からは何が起きているのかはっきりと知る事はできない。
時折聞こえる金属と金属がぶつかり合う甲高い音は
もし、父やヴァイスがファズガル教団と塔の内部で戦っているのだとしたら、向かった兄とジェイがそこにいるのだとしたら……エリオットの脳裏に、最悪の事態が
エリオットはひとまず落ち着こうと息を思いっ切り吸う。
……すると、錆びた鉄のような臭いが鼻をついた。一瞬にして、ひやりと体中が冷える。
エリオットは臭いのする方へ、ゆっくりと歩く。
塔の外側には人の気配は無いが、階段を一歩、二歩。足を進める度に、鉄錆びた臭いがはっきりとしてくる。
階段を上りきった所でエリオットが見た光景は酷いものだった。
そこには、横たわる人の姿。
塔の周辺の石畳の上に、見知った村の大人が二人、武装した傭兵らしき人物が三人、血塗れでぴくりとも動かない。
他にはファズガル教団のものであろう黒い竜の紋章が縫いつけられた黒の法衣の人物が、十人ほど横たわっている。そのいずれもが竜を模した黒い仮面を着けており、素顔は分からない。
エリオットは
兄とジェイは本当にここへ来たのだろうか、ひょっとすると、自分の早とちりで二人は村に居るのではないかと思いを巡らせる。
引き返そう。
そう思った時、塔からひと際激しい剣戟の音が鳴り響き、エリオットは塔へと視線を移す。
「はなせ!」
その時、塔の内部に反響した声は確かにジェイのものだった。
――やはり、ジェイはここに居る。
そう確信したエリオットは拳を握り締め、開け放たれた塔の入口をくぐり、恐る恐る塔の内部へと足を踏み入れた。
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🐦⬛からすの後書きコーナー
ここからちょっと残酷描写入ります。
文章とか言っても、小説って想像してなんぼみたいなとこがあるので冒頭に注意書きはしていきます。
知ってる人が死んでる(殺された)っていうエピソードは書いてる自分からしてもいたたまれない。テロウ村って大人子供合わせて百何十人くらいの規模の小さい村だから、普段から接してなくても名前はわからずとも「見覚えある人」「よく挨拶する人」程度には知ってるんじゃないかな。
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