⚠注意⚠
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含まれる表現
死を連想させる描写?[ON]にすると字下げがなくなり行間が広がります
「そ、そうだ。ハイルは!」
ジェイは通路の脇に倒れたハイルに振り返る。
ヴァイスは床に膝をついてしゃがみ込み、倒れているハイラプキンの様子を見た。
既にハイラプキンの息が無い事を知ると、ヴァイスは静かに頭を横に振る。
ジェイはその動作の意味が親友の死である事を悟り、信じられない、と瞳を揺らし、目をきつく閉じた。
エリオットはハイルの最期の鼓動が途切れた瞬間を思い出し、顔を歪める。
部屋から出て来た一頭の黒い狼がしなやかな足取りでエリオットとエルドのそばに駆け寄り、慰めるようにエリオットの顔を見上げた。
どんな経緯かは不思議であったが、父と共闘していたところを見ると、この狼は味方なのだろう。
狼の赤い瞳が優しく、エリオットは自然と強張っていた表情を和らげた。
エルドはエリオットが落ちついた様子を見て抱擁を解き、立ち上がる。
「ヴァイス、俺は結界石を取ってから向かう。先に子供たちと塔を下りてくれ」
エルドはそう言うと結界石の部屋へ戻り、天井に吊るされた結界石に手を伸ばして何重にもかけられた術を解いていく。
抗魔結界を作り出す結界石は魔族に手出しできないように複雑な術がかけられ、術式を理解している者にしか解けない人工魔術で守られていた。
人工魔術は膨大な魔力を必要とするが、うまく扱えば魔族の力ですら凌駕 する。
魔族の力を持っていたファズガル教団が人質を使ってまで結界を解かせようとしたのは、結界を保護する人工魔術を壊す術を持たなかったからに他ならない。
しかし、抗魔結界が魔力の供給なしに維持できないように、それを保護する術式も魔力の供給が絶たれてしまえば壊れやすくなる性質を持つ。
膨大な魔力を要する人工魔術においては、術者がいなくなれば半日も維持できない。
抗魔結界が解除されて魔族が本来の力を発揮できるようになれば、魔竜軍は増長してダイディヴィス全土にまでなだれ込む可能性がある。
被害を最小限に留めるためにも、結界石を別の安全な場所へ移動させる必要があった。
「塔を下りよう」
廊下の小窓から父が結界石を取り出すのを見ていたエリオットはヴァイスに促され、ヴァイスを先頭にジェイと狼と共に階段を下りて行った。
無惨な光景から目を逸らしながら、血なまぐささのこもった塔から出る。
塔の外の遺体もそのままで、エリオットは気分が悪くなる。
黒狼はそんなエリオットを励ますように横にぴったりとくっついて歩いた。
エリオットは黒狼と目が合い、いい子だなと微笑んだ。
……ふと、狼の赤い瞳から兄を思い出し、ジェイに振り返る。
「そ、そうだ、兄ちゃんは? 兄ちゃんは来なかったの?」
「えっ、ルイス? ルイスは村にいるんじゃないのか」
ジェイは知らない様子でエリオットに訊き返した。
「兄ちゃんもジェイを追って行ったと思ってた」
「そんな……それじゃ……」
ジェイとエリオットは最悪の事態を考えた。
追って来て姿が見えないのなら、来る途中で何かあったとしか考えられなかった。
ヴァイスはその思いを察して、二人に「大丈夫」と声を掛ける。
「落ち着いて。ルイスなら無事だ」
穏やかになだめる言葉に、エリオットはその場限りの気休めではないかと疑う。
ジェイの後を追って走って行った兄が、途中で目的を変えたとは思えないからだ。
そう疑う反面、母と共に村に居てくれたのならと願わずにはいられなかった。
この状況なら、村に精霊術が使えて戦える兄が居れば、母も安心できるだろうと思った。
ジェイは通路の脇に倒れたハイルに振り返る。
ヴァイスは床に膝をついてしゃがみ込み、倒れているハイラプキンの様子を見た。
既にハイラプキンの息が無い事を知ると、ヴァイスは静かに頭を横に振る。
ジェイはその動作の意味が親友の死である事を悟り、信じられない、と瞳を揺らし、目をきつく閉じた。
エリオットはハイルの最期の鼓動が途切れた瞬間を思い出し、顔を歪める。
部屋から出て来た一頭の黒い狼がしなやかな足取りでエリオットとエルドのそばに駆け寄り、慰めるようにエリオットの顔を見上げた。
どんな経緯かは不思議であったが、父と共闘していたところを見ると、この狼は味方なのだろう。
狼の赤い瞳が優しく、エリオットは自然と強張っていた表情を和らげた。
エルドはエリオットが落ちついた様子を見て抱擁を解き、立ち上がる。
「ヴァイス、俺は結界石を取ってから向かう。先に子供たちと塔を下りてくれ」
エルドはそう言うと結界石の部屋へ戻り、天井に吊るされた結界石に手を伸ばして何重にもかけられた術を解いていく。
抗魔結界を作り出す結界石は魔族に手出しできないように複雑な術がかけられ、術式を理解している者にしか解けない人工魔術で守られていた。
人工魔術は膨大な魔力を必要とするが、うまく扱えば魔族の力ですら
魔族の力を持っていたファズガル教団が人質を使ってまで結界を解かせようとしたのは、結界を保護する人工魔術を壊す術を持たなかったからに他ならない。
しかし、抗魔結界が魔力の供給なしに維持できないように、それを保護する術式も魔力の供給が絶たれてしまえば壊れやすくなる性質を持つ。
膨大な魔力を要する人工魔術においては、術者がいなくなれば半日も維持できない。
抗魔結界が解除されて魔族が本来の力を発揮できるようになれば、魔竜軍は増長してダイディヴィス全土にまでなだれ込む可能性がある。
被害を最小限に留めるためにも、結界石を別の安全な場所へ移動させる必要があった。
「塔を下りよう」
廊下の小窓から父が結界石を取り出すのを見ていたエリオットはヴァイスに促され、ヴァイスを先頭にジェイと狼と共に階段を下りて行った。
無惨な光景から目を逸らしながら、血なまぐささのこもった塔から出る。
塔の外の遺体もそのままで、エリオットは気分が悪くなる。
黒狼はそんなエリオットを励ますように横にぴったりとくっついて歩いた。
エリオットは黒狼と目が合い、いい子だなと微笑んだ。
……ふと、狼の赤い瞳から兄を思い出し、ジェイに振り返る。
「そ、そうだ、兄ちゃんは? 兄ちゃんは来なかったの?」
「えっ、ルイス? ルイスは村にいるんじゃないのか」
ジェイは知らない様子でエリオットに訊き返した。
「兄ちゃんもジェイを追って行ったと思ってた」
「そんな……それじゃ……」
ジェイとエリオットは最悪の事態を考えた。
追って来て姿が見えないのなら、来る途中で何かあったとしか考えられなかった。
ヴァイスはその思いを察して、二人に「大丈夫」と声を掛ける。
「落ち着いて。ルイスなら無事だ」
穏やかになだめる言葉に、エリオットはその場限りの気休めではないかと疑う。
ジェイの後を追って走って行った兄が、途中で目的を変えたとは思えないからだ。
そう疑う反面、母と共に村に居てくれたのならと願わずにはいられなかった。
この状況なら、村に精霊術が使えて戦える兄が居れば、母も安心できるだろうと思った。
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🐦⬛からすの後書きコーナー
え?!
今年ってあと三週間しかないの?!?!?!
序幕の連載は今年中で切りよく終わるようにしたいけど雲行きが怪しいです……
残り三話で〆られますかねこれぇぇ_(:3」 ∠)_
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