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ダイディヴィス南部の沿岸には、ダイディヴィス三大都市のひとつ、漁港都市ネジュアがある。
ネジュアは美しい海の青が映える白を基調とした石灰岩の建築物の街並みが広がっており、その中心には水を司る精霊神を祀るフェアリィナ大神殿がそびえ立つ。
フェアリィナ大神殿は祈祷や冠婚葬祭、精霊術による治療を行う診療・療養施設として機能している他、ネジュア近郊を守る抗魔結界を展開する巨大な結界石を管理する重要施設でもある。
エリオットは五年前のテロウ村襲撃事件からフェアリィナ大神殿の司祭を務める叔父サードに引き取られ、神殿に併設された寮に暮らしている。
事件の後すぐ、エリオットは父の形見の拳銃を手にファズガル教団への復讐を考えていたが、思い詰めたエリオットを案じた叔父は神学校に通わせ、かつての父エルドと同じように神官として働く事を勧めた。
しかし、エリオットは変わらずファズガル教団への復讐とテロウ村の人々が生存している希望を捨てる事は無く、神殿で神官見習いとして勤めながらも、魔物の討伐に特化した傭兵ダークハンターとしての活動を始めた。
ファズガル教団が各地の抗魔結界を破壊した影響で人里近くにまで魔物が出没するようになってから、神殿は年々忙しさを増していた。
ダークハンターとしての一歩を踏み出したエリオットではあったが、神殿の忙しさの中、見習いとはいえ神官としての仕事を捨てる身勝手さは持てずにいた。
神官達が忙しく神殿と病棟を忙しく行き交う中、誰かがエリオットの肩を優しく叩き、エリオットは振り返る。
墨色の澄んだ瞳と特徴的な長い深緑の髪を腰のあたりで束ねた女性。神殿の先輩である巫女のドリス・ワーグナーだ。
彼女は幼い頃に病で親を亡くしてから親と親しい友人関係にあったサードに引き取られており、エリオットの事は同様に身寄りがなくサードに引き取られた共通点からか、弟のように可愛がっている。
「エリオット、また遠慮しているでしょう。あなたの悪い癖ですよ」
そう言って笑う目元は幼い子供を見るように優しい。
「いや、こんなに忙しいのに俺が途中で抜けるのは良くないなって……」
二人が静止する間も、周囲の神官達は変わらず忙しなく行き交う。
「今日は一人くらい抜けても平気です。必要なら私も引き留めますから、遠慮しないでいいんですよ」
ほらほら、と、ドリスは寮へ続く扉へ向けてエリオットの背を押す。
「ダークハンターがいなければ、魔物の被害は増える一方ですから。そちらを優先してください」
「……うん。ありがとう、ドリスさん」
エリオットは後ろにいるドリスに、首だけ振り返って礼を言う。
いつもドリスはエリオットの一番の理解者だった。
ダークハンターの免許を取ると言い出したエリオットに猛反対した叔父を、ダークハンターが戦ってくれなければ神殿で祈祷や治療を行うどころではなくなる、と説得してのけたのも彼女であった。
背を押していた手を離して、ドリスは微笑む。
「あなたのダークハンターとしての活躍、期待していますからね」
エリオットは頷いて、ドリスと扉の前で別れ、ダークハンターとしての支度をするために誰もいない静かな長い渡り廊下を足早に進んだ。
ネジュアは美しい海の青が映える白を基調とした石灰岩の建築物の街並みが広がっており、その中心には水を司る精霊神を祀るフェアリィナ大神殿がそびえ立つ。
フェアリィナ大神殿は祈祷や冠婚葬祭、精霊術による治療を行う診療・療養施設として機能している他、ネジュア近郊を守る抗魔結界を展開する巨大な結界石を管理する重要施設でもある。
エリオットは五年前のテロウ村襲撃事件からフェアリィナ大神殿の司祭を務める叔父サードに引き取られ、神殿に併設された寮に暮らしている。
事件の後すぐ、エリオットは父の形見の拳銃を手にファズガル教団への復讐を考えていたが、思い詰めたエリオットを案じた叔父は神学校に通わせ、かつての父エルドと同じように神官として働く事を勧めた。
しかし、エリオットは変わらずファズガル教団への復讐とテロウ村の人々が生存している希望を捨てる事は無く、神殿で神官見習いとして勤めながらも、魔物の討伐に特化した傭兵ダークハンターとしての活動を始めた。
ファズガル教団が各地の抗魔結界を破壊した影響で人里近くにまで魔物が出没するようになってから、神殿は年々忙しさを増していた。
ダークハンターとしての一歩を踏み出したエリオットではあったが、神殿の忙しさの中、見習いとはいえ神官としての仕事を捨てる身勝手さは持てずにいた。
神官達が忙しく神殿と病棟を忙しく行き交う中、誰かがエリオットの肩を優しく叩き、エリオットは振り返る。
墨色の澄んだ瞳と特徴的な長い深緑の髪を腰のあたりで束ねた女性。神殿の先輩である巫女のドリス・ワーグナーだ。
彼女は幼い頃に病で親を亡くしてから親と親しい友人関係にあったサードに引き取られており、エリオットの事は同様に身寄りがなくサードに引き取られた共通点からか、弟のように可愛がっている。
「エリオット、また遠慮しているでしょう。あなたの悪い癖ですよ」
そう言って笑う目元は幼い子供を見るように優しい。
「いや、こんなに忙しいのに俺が途中で抜けるのは良くないなって……」
二人が静止する間も、周囲の神官達は変わらず忙しなく行き交う。
「今日は一人くらい抜けても平気です。必要なら私も引き留めますから、遠慮しないでいいんですよ」
ほらほら、と、ドリスは寮へ続く扉へ向けてエリオットの背を押す。
「ダークハンターがいなければ、魔物の被害は増える一方ですから。そちらを優先してください」
「……うん。ありがとう、ドリスさん」
エリオットは後ろにいるドリスに、首だけ振り返って礼を言う。
いつもドリスはエリオットの一番の理解者だった。
ダークハンターの免許を取ると言い出したエリオットに猛反対した叔父を、ダークハンターが戦ってくれなければ神殿で祈祷や治療を行うどころではなくなる、と説得してのけたのも彼女であった。
背を押していた手を離して、ドリスは微笑む。
「あなたのダークハンターとしての活躍、期待していますからね」
エリオットは頷いて、ドリスと扉の前で別れ、ダークハンターとしての支度をするために誰もいない静かな長い渡り廊下を足早に進んだ。
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🐦⬛からすの後書きコーナー
神官と兼業するエリオくん。
エリオくん、前回は石碑の前で誓いを立てたけど、現実は叔父の反対や神殿の事も放っておけないほど真っ直ぐには進めないみたいな、少しがんじがらめ状態になってます。
ドリス姉さんの後押しがなければ、多分エリオットは復讐もテロウ村の人を捜しに行く事も諦めて神官一択の道を歩んでいたかもしれない。
それくらいエリオくんは優柔不断というか、優しすぎて自分の思いを殺してしまう子…といった感じです。
そのあたりは後々登場する人物たちが支えていく…!はず🙄
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