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「改めて訊くけど、あんた、仲介所にいたわよね」
せっかく夕食にありつこうという時にやって来て、再びよく知りもしない相手から「あんた」と言われ、気分を悪くしたエリオットは向かいに立つレディに対し不機嫌に首を傾げるように見上げた。
「あのなぁ。いくら何でも、初対面の相手にあんた、は失礼じゃないか? 俺はエリオット・エスロイ。君よりは年上だと思うけど?」
レディはエリオットの説教が気に食わなかったのか、顔をしかめて腕を組んで訊いた。
「あんた、何歳よ」
「十七だよ」
「あたしよりひとつ上なだけじゃない。年齢なんていいでしょ。あんた、すごく下っ端っぽいもの」
憎まれ口を叩くレディに、エリオットは「そういう君も十六には見えないくらい幼いじゃないか」となじってやろうか、と考えたが、油に火を注いだところで食事の時間と休む時間が減ってしまうため、我慢して深い溜息で怒りをやり過ごした。
「それで? 今日からお世話になる研修生のレディ・シャルアローさんは、まさか俺に喧嘩を売るために食事を邪魔してまで話し掛けたわけじゃないだろう?」
エリオットは机に頬杖を付き、早く食事を済ましたいんだけど、と手元の食器を軽く指で叩いて、皮肉を込めつつ本題を催促する。
「ねえ、エリオットって言ったわよね。だったら話は早いわ。テロウ村の唯一の生存者でファズガル教団に恨みを持つダークハンターだって、あんたの噂は仲介所で聞いたわ」
ファズガル教団が各地で猛威を振るう切っ掛けとなったテロウ襲撃事件唯一の生存者であるエリオットの名前はネジュアでは悲劇的な身の上であると広まっていたが、噂を聞いた、と言われると、エリオットはあまり良い気はしなかった。
「あたしもファズガル教団を懲らしめたいの。あのつるつる頭は〝巫女にはダークハンターは務まらない〟だなんて言ってたけど、あんたみたいな下っ端神官がなれるくらいなんだから、口添えでも何でも、あたしに協力しなさいよ」
エリオットは彼女の上からの態度に呆れて、話を聞くのを止めて食事に手を付ける。
「……さあね。いくらファズガル教団が憎くても、君に付き合う義理はないよ」
エリオットは協力を拒否して目を逸らし、スープを啜る。
「あの、レディさん。そろそろお部屋に――」
険悪な空気を感じ取ったドリスはレディに部屋を案内しようと声を掛けるが、レディが諦める様子は無く、エリオットの前の机に両手を付いて存在を主張し、話を続けた。
「あたしが予定より早くここに来たのは、途中でファズガル教団の襲撃に遭ったからなの」
レディの後ろにいたドリスは「えっ」と驚きの声を上げる。
「なんだって」
エリオットはただファズガル教団を憎んでいるだけであれば興味を持たなかっただろう。
しかし、彼女自身がファズガル教団の被害に遭ったという話に、エリオットは食いついた。
「大ごとにしないように司祭様は話を伏せてくれたけど、レティアローから付けていた護衛は全滅。あたしと一緒にここへ来る予定だったリュチアお姉ちゃんは教団にさらわれたわ」
レディは目を伏して、初めて苦い表情を見せる。
さっきまでの生意気な態度が強がりのように見えるほど、悔しさや悲しさのような複雑な感情が表情に滲 み出ていた。
せっかく夕食にありつこうという時にやって来て、再びよく知りもしない相手から「あんた」と言われ、気分を悪くしたエリオットは向かいに立つレディに対し不機嫌に首を傾げるように見上げた。
「あのなぁ。いくら何でも、初対面の相手にあんた、は失礼じゃないか? 俺はエリオット・エスロイ。君よりは年上だと思うけど?」
レディはエリオットの説教が気に食わなかったのか、顔をしかめて腕を組んで訊いた。
「あんた、何歳よ」
「十七だよ」
「あたしよりひとつ上なだけじゃない。年齢なんていいでしょ。あんた、すごく下っ端っぽいもの」
憎まれ口を叩くレディに、エリオットは「そういう君も十六には見えないくらい幼いじゃないか」となじってやろうか、と考えたが、油に火を注いだところで食事の時間と休む時間が減ってしまうため、我慢して深い溜息で怒りをやり過ごした。
「それで? 今日からお世話になる研修生のレディ・シャルアローさんは、まさか俺に喧嘩を売るために食事を邪魔してまで話し掛けたわけじゃないだろう?」
エリオットは机に頬杖を付き、早く食事を済ましたいんだけど、と手元の食器を軽く指で叩いて、皮肉を込めつつ本題を催促する。
「ねえ、エリオットって言ったわよね。だったら話は早いわ。テロウ村の唯一の生存者でファズガル教団に恨みを持つダークハンターだって、あんたの噂は仲介所で聞いたわ」
ファズガル教団が各地で猛威を振るう切っ掛けとなったテロウ襲撃事件唯一の生存者であるエリオットの名前はネジュアでは悲劇的な身の上であると広まっていたが、噂を聞いた、と言われると、エリオットはあまり良い気はしなかった。
「あたしもファズガル教団を懲らしめたいの。あのつるつる頭は〝巫女にはダークハンターは務まらない〟だなんて言ってたけど、あんたみたいな下っ端神官がなれるくらいなんだから、口添えでも何でも、あたしに協力しなさいよ」
エリオットは彼女の上からの態度に呆れて、話を聞くのを止めて食事に手を付ける。
「……さあね。いくらファズガル教団が憎くても、君に付き合う義理はないよ」
エリオットは協力を拒否して目を逸らし、スープを啜る。
「あの、レディさん。そろそろお部屋に――」
険悪な空気を感じ取ったドリスはレディに部屋を案内しようと声を掛けるが、レディが諦める様子は無く、エリオットの前の机に両手を付いて存在を主張し、話を続けた。
「あたしが予定より早くここに来たのは、途中でファズガル教団の襲撃に遭ったからなの」
レディの後ろにいたドリスは「えっ」と驚きの声を上げる。
「なんだって」
エリオットはただファズガル教団を憎んでいるだけであれば興味を持たなかっただろう。
しかし、彼女自身がファズガル教団の被害に遭ったという話に、エリオットは食いついた。
「大ごとにしないように司祭様は話を伏せてくれたけど、レティアローから付けていた護衛は全滅。あたしと一緒にここへ来る予定だったリュチアお姉ちゃんは教団にさらわれたわ」
レディは目を伏して、初めて苦い表情を見せる。
さっきまでの生意気な態度が強がりのように見えるほど、悔しさや悲しさのような複雑な感情が表情に
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5月30日更新予定
5月30日更新予定
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🐦⬛からすの後書きコーナー
噛み付く系ヒロイン、レディ・シャルアロー。
イメージは大人しくしていれば可愛いけど、慣れるまで苛烈に吠えるチワワ…みたいな。
昔考えていたプロットの中でも「大人しくしていれば可愛いがお転婆である」という特徴があったので、そこからもう少しイメージを膨らませてみました。
昔考えていたのは、エリオットが依頼で出掛けた森で無数の魔物に襲われているところを助けて仲間になる、みたいなベタな展開でした。
今回はエリオットに初対面で「あんた」呼びかつ噛み付いてくるという、少女漫画でいう「第一印象サイアク」な展開にしてみました。
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