2026-05-30

Dark Hunter / 第一幕〈9〉

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 ドリスは「リュチア」という名前に反応して目を丸くし、少し興奮気味にレディに話し掛ける。
「まさか、あなたのお姉さんって水鏡の巫女のリュチア・シャルアローなの?」
 ドリスの驚いた表情に、レディは得意げに笑う。
「ふふん、さすがにお姉ちゃんの名前は知れてるみたいね」

「水鏡の巫女?」
 エリオットは首を傾げて、ドリスとレディの顔を交互に見つめる。
 その様子に、レディは不愉快そうに顔を歪めた。

「はぁ? 水の神殿に仕えておきながらそんな事も知らないの、あんた」

 再び「あんた」と呼ばれたエリオットはむっとして目を細め、レディと(にら)み合った。
 ドリスは二人の険悪な様子に苦笑いを浮かべながら、エリオットに説明する。

「水鏡の巫女というのは、水精霊の加護で未来を視る力を持つ巫女のことよ。リュチア・シャルアローは生まれつき盲目だけれど、その力に長けていて、幼少の頃から予言でレティアローに訪れる危機を何度も救ったと言われているの」

「ふーん。聞いた事があるような、無いような……」

 エリオットは興味のない事を覚えるのが苦手だった。
 ここ数年の興味と言えば、ファズガル教団の動向と行方不明者情報、銃の扱いと精霊術の上達に集中しており、それ以外の事にはからっきしであった。

「巫女の間では、彼女の儚げで神秘的な美しい容姿も話題になっていて、とても人気があるのよ。フェアリィナ神の再来じゃないかって!」

 彼女もリュチア・シャルアローに憧れる巫女の内の一人なのか、ドリスは先程よりも興奮気味に強く語り出す。  いつも穏やかな印象の彼女が熱を持って話す姿に、エリオットは呆気にとられた。

「そうよ。シャルアロー家は由緒正しいフェアリィナ神の血を引く家系だもの」

 レディは得意げに話すが、エリオットはレディの姿をまじまじと見て、神殿にある女神像の姿と比較した。
 女神像のフェアリィナ神は清楚な顔立ちをしており、ドリスの言ったリュチア・シャルアローのような儚げな印象のある美女である。
 目の前に居るレディの容姿といえば、よく動く大きい瞳と小さな顔と小柄な体つきは小動物のようで可愛らしいが、清楚というよりは活発な印象である。

「その割に……」

 エリオットはつい、女神像の胸の大きさを思い出してレディの胸元を見てしまう。

「は?」

 レディの不機嫌な声にはっとして、エリオットは失礼な事をしたと恥じてそそくさと視線を上げるが、時すでに遅しであった。
 彼女はエリオットが見つめていた自分の小さな胸元に視線を落とすと、恨めしそうにエリオットを睨んで叫んだ。

「ほっといて!」
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6月6日更新予定
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🐦‍⬛からすの後書きコーナー

ずっとシリアスなのもなーと、ここは少しコミカルにしてみました。
体型を気にする描写は定番ですが、胸など性別における部分に関しての描写は今時よろしくないのかなぁとも思ったりしますが、あえて入れてみたり。
弁明しておくと、ここでのエリオットが胸を見てしまったのは性的にというより、単純に女神像の造形とレディの体型を比較してしまっただけで、すぐに女性に失礼な事をしたという自覚を持っています。

LGBTQや多様性について議論される機会の多い昨今ですが、私としては女性の胸は優しさだったり母性や美を感じる要素で、いやらしさは無いと考えている「男・女らしさ」はあってもいいと思います。
小説なら文章で伝える必要があるため、性別の概念はあったほうが想像しやすいですし、生物的な性別の傾向というのもあるので無ければ少し寂しく感じてしまいますね。
(ただ自認の性別を否定したり、そういった要素で決め付けて傷付けるのは良くないよね。
創作でもその描写が必要なら書きますが、読み手や該当する特徴の全ての人を中傷する内容にはならないのが創作の世界だと思いますし、私自身そういう意図を持って書く事はありません)

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