2026-06-20

Dark Hunter / 第一幕〈12〉

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 およそ四百年前、ダイディヴィスの西の国境となるウェストワール山脈を隔てたスレフィシア砂漠の中央には、精霊人アロンシアの国アリューシア帝国があった。

 帝国は死の砂漠の只中にありながら、「精霊が生まれる場所」「始まりの樹」と称される天を穿(うが)つ巨大な精霊樹「リーンヴェル」の恩恵を受け、豊富な水源と緑に恵まれた地だったとされる。
 王城は人工魔術を以てしても傷ひとつ付けられない精霊石で造られ、光の精霊神サローの力によってその城下は守られていたという。

 不可侵の防衛力を誇っていたアリューシア帝国が滅びた原因は、ダイディヴィスとの大戦であった。

 ダイディヴィス軍は人工魔術の研究が盛んであったサチェトカ国と共同で開発した転送技術により大軍をアリューシア帝国へと転送する事に成功し、攻め込んだ。

 当時の生存者の記録によると、ダイディヴィス軍は数で帝国の防衛を破り攻略を目前にしていたが、精霊樹の暴走によりダイディヴィス軍と帝国の人々が精霊樹と共に光の柱に呑まれ消失したとされる。

 その後、帝国跡地は精霊樹の消失により精霊の恩恵が受けられず、地は渇き、今や建築物のほとんどは砂に埋もれてしまった。
 辛うじて砂漠の中に姿を残した王城も今や半分は砂で埋もれ、精霊の力を失ってただの石と化した精霊石は四百年もの歳月により朽ちて、城の至る所は(もろ)く崩れ落ちていた。


 ―朽ちたアリューシア王城の上空に翼を広げた飛竜が弧を描き、滑空して城の屋上へと舞い降りる。
 飛竜の背から降りた者達は角や翼、獣のような尻尾を持った、それぞれ特徴が異なる魔族だった。


 彼らは魔竜ファズガルに仕える魔竜軍である。
 魔竜軍はアリューシア帝国が滅んだ後、帝国跡地を拠点としていた。
 生物にとっての死せる砂漠は魔物には人間や危険生物の脅威から身を守る安全地帯の役割を持ち、精霊樹が根付いていた名残として地下には魔脈が残されており、魔力を糧として生きる魔族で構成された魔竜軍にとっては非常に都合の良い土地だったのである。

 ()せたアリューシア王城の内部は外観から想像もつかないほど綺麗に修繕され、掃除が行き届いていた。
 大理石の床は水晶の柱に灯された精霊灯に照らされ、かつての栄華を思わせるほど美しく輝いて訪問者を歓迎する。
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6月27日更新予定
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🐦‍⬛からすの後書きコーナー

この主人公サイドから一方で…みたいな展開をしたくてこのあたりを書いていたんですが、長くなりました。

でもここでようやく「リーンヴェルとは何か」触れましたねーーーー
第一幕の前半で触れて結果的に良かったと思います!(出していきたいとは思っていたけどほぼ偶然✌)
ここから魔竜軍サイドのお話がちらりと挟まります。
魔竜軍サイドとエリオくんサイドは敵とヒーローという相関図なのか、はたまた…
うまくドキワク展開に持っていきたいです!!!

次回は一気に登場人物が4人も追加されますっ!

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