2026-08-08

Dark Hunter / 第一幕〈19〉

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「よっ! 珍しいなエリオット。今日は朝から仕事をサボって可愛い子とデートかい?」
 河原を巡回する顔見知りの聖騎士がエリオットを見かけて声を掛けてきた。
「そんなわけないだろう。からかうなよ、キリー」

 水神殿所属の鮮やかな青の外套と白銀の鎧を身に着けた聖騎士キリニウス・ガーラント、こと、キリーはエリオットとは神学校の同期である。
 健康的な見た目の南国由来の淡い褐色(かっしょく)の肌と首の後ろで束ねられた肩まで伸びた金髪と頼りになりそうな背格好は白銀の鎧に映え、黙ってさえいれば聖騎士然(ぜん)として見えるのだが――

「知り合い?」
 レディは振り返ってその大きな瞳でキリーを見る。
 キリーは元から細い目元を更に細くさせ、とびきりの笑顔を浮かべて屈み、レディと目線を合わせる。
「やあ。俺はエリオットと同じ水神殿所属の聖騎士キリニウス・ガーラントって言うんだ」
 レディは分野は異なるものの、同じ水神殿の所属であると知り、少しでも心象を良くしようと愛想の良い余所行きの顔を作る。
「ところでどうだい、こいつのカノジョじゃないなら俺と付き合わない? 神官よりか収入は良いし、損はさせないよ」
 ね、とキリーは片目を閉じて甘く主張する。
 レディは一瞬でも愛想の良い笑みを浮かべていた口角を下げ、口元を「は?」と開けると、目を細め軽蔑の眼差しを向けて後退(ずさ)り、冷たく言い放つ。
「……ナンパとか、最悪」
「ははは! 言われたねぇ」
 キリーは天を仰ぎ、腹を抱えてげらげらと笑う。
 エリオットは神学校でも女子によくちょっかいをかけていたよな、とキリーを呆れた目で見る。

 キリーは神学校時代から演劇俳優と並ぶほどだと女子群から持てはやされており、常に微笑みかけているように見える細い目元と、長い睫毛(まつげ)から覗くすみれ色の瞳が魅力的だと言われ、「キリニウスに見つめられた女子は必ず恋に落ちる」と噂になるほどだった。
 キリーの容姿と甘い言葉に弱い女子は数多く、校内外の女性がキリーとの交際を巡って血みどろの喧嘩騒ぎを起こした事もある。
 精霊神教の神職者は本来、異性交際について厳格なため、エリオットはキリーが神学校を卒業し聖騎士として働いている事は未だに不可解に思っていた。

 キリーはエリオットの呆れた表情に気付き、笑いながら気安くエリオットの肩を叩く。
「そんな顔するなって。冗談だよ。そこのお嬢さんが可愛いことは確かだが、さすがに神に仕える騎士が本気でナンパなんぞしてみろ。クビだよ、クビ。俺の充実した生活が終わっちまうだろ」

 レディはエリオットをじろりと見て呟く。
「友人は選んだほうがいいんじゃない?」
「自分でもそう思うよ」
 神学校時代から今にかけて、キリーから構われ何かしらとばちりを受けた苦い思い出が多く、エリオットにとってキリーは友人というよりは同じ所属の腐れ縁という表現の方が合っているだろう。
 縁を切れるものなら切りたいくらいだ、とエリオットは項垂(うなだ)れた。

🐦‍⬛からすの後書きコーナー

ナンパキャラきたーーーーー!
キリニウスは過去の構想では全く登場しませんでした。
今回は序幕の時の村人についてもそうですが、登場人物は多めで、エリオット達に生活感を出したいなと思って交友関係ですとか、同じ街で暮らす人だとかすれ違う人物がバンバン登場します。
ダークファンタジーとして考えていましたが、なんかもうギャグ路線?ラブコメ路線?とかそっち系もいける気がします。
今こんなに明るいのはフラグかも…ってちょっと身構えたほうがいいですけどね……(やめろぉぉおぉー)

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