神様のいないセカイ/作者のあとがき

ShareLink
2020/09/21 シナリオ担当/KarasuYoshimura

「神様のいないセカイ」攻略情報をこちらに掲載するにあたって、何か付加要素があれば私たちが見返すにしても、訪問していただいた方にも、ちょこっと楽しめるんじゃないかとネタバレありきの“あとがき”のようなものを執筆することにします。


【服装や舞台背景】
 お話を考えていた際、物語は「昔々……」ではなくて「現代のどこかに存在するかもしれない」というテーマで考えて、服装については最初、中東の民族のものを参考にしようと様々な資料を漁ってみたものの、昨今ではあちらでも洋風な、私たちがよく知るジーンズやシャツ、スーツを着ている所が増えているという話を小耳に挟み、ミカたちの衣装はあえてカジュアルな洋服にしてみました。
 宗教観の違いで争いが起こるものの、時代の流れによって変革が訪れつつある空気も出ていたらなと思ったり。
 そして一応「現代のどこかに存在するかもしれない」というあたりは、ミカたちのいる世界は完全ファンタジーというより、ユガミユメなどと同じ世界での出来事と考えているという意味でもあって。けれど具体的にどこの国がモデルであるかというのは無くて、本作の中では結局名前を決めかねて国名が登場する事はありませんでした。
 なんとなく、日本やアメリカ、イギリス、ドイツといったらイメージがふんわり沸きますけど、中東のどこそこというと馴染みのないイメージがあって、かと言って前述した国々の事も把握しているかというとそうでも無いんですが、「ここはこの国です」と言ってしまうのは気が引けるような要素しかなくて、ミカたちのいる国をファンタジーにせざるを得なかったといいますか。
 まあ!アレです!要は国について調べるのが面倒だったということで!!!(完)

【物語のその後】
 この先、盛大にネタバレです。

 物語の終盤では落ち合うはずの人たちが来ず、レライハと国を後にしたミカ。
 落ち合う約束をしていた労働仲間の人々は、皇帝ダミアンに仕える兵士に捕らわれたり、殺されてしまったり、逃げる途中で隠れるために時間がかかってしまったりと、様々な理由でたどり着くことができませんでした。
 イツハークはダミアンとの一騎打ちの最中で、ジオたちレジスタンスはダミアンの取り巻きを撒くために奮闘していたという流れです。
 イツハークはもともと、落ち合い場所に向かうつもりはありませんでしたが、労働仲間を戦火の上がる国から逃がそうとしていた事は確かで、結果的にはそれがミカ一人を助けただけで叶わなかった……ということです。

ミカはレライハに「助けてくれない神など殺してしまえばいい」と武術を教わり、逃亡先の隣国で腕を見込まれてスカウトされ、傭兵として暮らすことになります。
 レライハは悪魔で、イツハークの片目を代償にダミアンを討つための力を与えていたんですが、ダミアンが退いたことで願いが叶ってしまったため、興味の対象がミカに移ったというところで。戦火を好む悪魔なので、正直ミカは危うい立場になったわけですね。
 イツハークたちがさっさとミカと連絡を取っていれば問題は無かったのですが、ミカはイツハークたちが王族だった事やサーマを失った事、自分をかばった少女イオの事を思うとやりきれなくなって人間不信気味になるという……

 ちなみに、メモとしても書いておきますが、イツハークはダミアン退いた国を共和制にしようと奮闘して、一方でジオはイツハークを王にしようとか考えてて、それぞれを支持する派閥が激突まではいかずとも衝突したり、問題ありありな未来があるという、混沌収まらぬセカイでございます。

 ……あれ?
 すっっっごい暗い展開だぞ???

 ハッピーエンドとして終われなかったのは、まだまだミカに厳しい運命が待っていたからかもしれませんね。
 いつハッピーエンドになるんだよこれ(自分でツッコむ始末)

 後々、イツハークと再会したり、イオちゃんが生きている事を知ったり、そういう葛藤や喜びが混ざったドラマチックな図が頭に浮かんでます。
 一端だけでもまた機会があればゲームにしたり、小説でも漫画でもいいから続編書きたいですね~

【一番に残った謎とか】
 イツハークたちは王族だった!というのは、水路で拾うモノで判明したりするんですが、一方でサーマは誘拐事件と反乱の際に鋭い短剣さばきと身のこなし、という要素が見え隠れしたくらいで「この子、只者じゃない……?!」で終わってしまいましたね。不完全燃焼というか。いや、わざと後引くようにした節はあるんですけど。
 「神様のいないセカイ」の物語の後も、ミカの中でも、色々と後を引いていく存在なんです。
 で、結局ナニモノなの??? ですよね。

詳しい話はまた別の物語の中で書きたいなーと思いつつ、実現できなかったらモヤっとするのでネタバラシとしてちょこっとだけ書いてしまいますが。
 ミカの失われた故郷の裏の顔を担う一族の末裔です。

 ミカとサーマの故郷は「神様に守られた平和で美しい国」として、民は平和であればあるほど信仰心を厚くしていました。
 王族は存在していましたが、民は王よりも国を守護しているとされる神様を信じていたわけです。政治から生活から、何から何まで神の教えに従っていたんです。
ミカの父ボクデンは将軍の位置にいましたが、防衛軍として国境を警備したりといったお仕事をしていたわけで、もともと戦争に不向きな国でした。
 周辺の国は資源の争奪や宗教の違いで争いが絶えなかったのに、“小さい国だけど資源は豊富で、長年、近隣との争いもなかった”んです。
 それというのも、この国の裏で戦争を回避するために立ち回る組織がいたからというわけで、それがサーマの一族。
 サーマは故郷の汚い部分も知ってるけど、ミカには言わない。そんな立ち位置。
 そして彼には妹がいるんですが、ゲームの中では出てきません。
妹はある人物に囚われの身となっていて、妹を助けるために普段サーマは役を演じて振る舞っています。つまり、ミカの知っているサーマはほとんど偽りという事で。
 かと言って、ミカの事は親しく思っていて、ミカのピンチにはなりふり構わず助けに入ります。
 本当はもっと仲良くなりたいけど事情があって離れるしかない、みたいな。
 「サーマ」としてはゲームのラストで死亡、という事にしてしまいましたが、「またね」と言っていたように、再会は望めるのかもしれません。死ぬつもりは毛頭なかったんじゃないでしょうか?(おまけで死亡って書いてるじゃん)