ヴァイスは何かの気配に気付いたのか、神妙な面持ちで二人の後ろの茂みに視線を移し、茂みの向こうに居る何者かに声を掛けた。
「――それで、そこでさっきから様子を見ているようだが、君は?」
エリオットとエルドが振り返ると、木と茂みの間からルイスが姿を現した。
「兄ちゃん!」
エリオットはやっぱり来たんだ、と兄が来た事を嬉しく思い、駆け寄る。
「なんだルイス、付いて来てたのか。いつからそこに居たんだ?」
エルドはおいで、と手招きしてルイスを呼ぶ。ルイスは半ばエリオットに引っ張られる形でヴァイスの前まで歩く。
「君がルイスか。度々、エルドから話は聞いてるよ」
朗 らかに接するヴァイスに、ルイスは目を細めて鋭く睨 む。
「ど、どうした? ルイス」
大抵の事は涼しい顔で対応するルイスの感情的な視線にエルドは戸惑う。
エリオットは兄の挙動を見て「ああ」と小さく声を上げて父に解説する。
「父さん、あれ、兄ちゃん照れてるだけだよ」
「えぇ?!」
驚く父に、エリオットは笑った。
兄については、両親よりも同じ幼少期を過ごしたエリオットのほうが理解できるらしい。
ルイスは照れ隠しに目を細める癖があるのだ。
普段から無表情で、その上つり目であるため、睨んでいると誤解されやすいが、目上の人に褒められたり取り組みが失敗してしまった時によく見られた。
ルイスはヴァイスを見極めるようにじっと目を合わせ、瞬きの後にようやく口を開いた。
「剣術を教えてくれ。俺は、魔剣を使う力が欲しい」
ルイスの真剣な眼差しに、ヴァイスは警戒を解いて表情を緩める。
「いいだろう。また明日、ここに来てくれ」
ヴァイスが集合場所に指定したこの場所は、すぐそばに目印となる遺跡があり、ヴァイスが寝床にしていた木の裏側には太陽の光が射し込む開けた場所があり、技の練習に最適と言えた。
ルイスは無言だったが、了承と礼の意を込めてか、ヴァイスに軽く会釈する。
エルドはにやけた表情でルイスの肩を軽く叩く。
「なんだ、ルイスもヴァイスに指南してほしかったのか。あんな顔をしてるから、てっきり喧嘩でも売ってるのかと思ったよ」
「……」
無表情で父を見るルイス。エリオットは「これは呆れてる顔」と思ったが、口にしなかった。
「――それで、そこでさっきから様子を見ているようだが、君は?」
エリオットとエルドが振り返ると、木と茂みの間からルイスが姿を現した。
「兄ちゃん!」
エリオットはやっぱり来たんだ、と兄が来た事を嬉しく思い、駆け寄る。
「なんだルイス、付いて来てたのか。いつからそこに居たんだ?」
エルドはおいで、と手招きしてルイスを呼ぶ。ルイスは半ばエリオットに引っ張られる形でヴァイスの前まで歩く。
「君がルイスか。度々、エルドから話は聞いてるよ」
「ど、どうした? ルイス」
大抵の事は涼しい顔で対応するルイスの感情的な視線にエルドは戸惑う。
エリオットは兄の挙動を見て「ああ」と小さく声を上げて父に解説する。
「父さん、あれ、兄ちゃん照れてるだけだよ」
「えぇ?!」
驚く父に、エリオットは笑った。
兄については、両親よりも同じ幼少期を過ごしたエリオットのほうが理解できるらしい。
ルイスは照れ隠しに目を細める癖があるのだ。
普段から無表情で、その上つり目であるため、睨んでいると誤解されやすいが、目上の人に褒められたり取り組みが失敗してしまった時によく見られた。
ルイスはヴァイスを見極めるようにじっと目を合わせ、瞬きの後にようやく口を開いた。
「剣術を教えてくれ。俺は、魔剣を使う力が欲しい」
ルイスの真剣な眼差しに、ヴァイスは警戒を解いて表情を緩める。
「いいだろう。また明日、ここに来てくれ」
ヴァイスが集合場所に指定したこの場所は、すぐそばに目印となる遺跡があり、ヴァイスが寝床にしていた木の裏側には太陽の光が射し込む開けた場所があり、技の練習に最適と言えた。
ルイスは無言だったが、了承と礼の意を込めてか、ヴァイスに軽く会釈する。
エルドはにやけた表情でルイスの肩を軽く叩く。
「なんだ、ルイスもヴァイスに指南してほしかったのか。あんな顔をしてるから、てっきり喧嘩でも売ってるのかと思ったよ」
「……」
無表情で父を見るルイス。エリオットは「これは呆れてる顔」と思ったが、口にしなかった。
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魔獣襲撃の際に一緒に帰宅する時もそうだけど、微妙に父が煙たがられてるの図。
エルドはちょっとお調子者タイプだから、物静かなタイプのルイスとは水と油って感じなんだと思います。
でも嫌ってはいなくて、ただ「またかよオヤジ」みたいなニュアンスね。こういう親子関係、好きなので取り入れたかった。エリオットは純粋に父の調子に乗るだけだから、性格の違いが出ますねぇ…
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