「二人を頼むよ、お師匠さん」
エルドはヴァイスに、少しふざけた口調で頼んだ。
「期待しないでほしい、とは言っておくよ」
「術を間近で見せてやるだけでも、いい経験になるさ。剣術なら尚更、飛び道具専門の俺じゃ教えられないから助かる」
エルドは村で結界塔の管理と狩猟を生業としており、狩猟に使う弓や猟銃の扱いを得意とした。
ハナトキの森に生息する猪や鹿の肉は美味と評判で外部では高額で取引され、村一番の狩猟の腕前を持つエルドは狩猟から加工までこなせる村の稼ぎ頭であり、エリオットにとっては自慢の父だ。
「父さんも銃の使い方教えてくれたらいいのに」
飛び道具専門、と聞いて、銃を習えば将来は憧れている父のように狩人として活躍できるかもしれないと連想し、自然と口から言葉がこぼれる。
兄は剣術を習うのだから、自分も何か武器が使えたら良いのに、という思いもそこにはあった。
「エリオット君はお父さんみたいに銃を使いたいんだね」
理解を示してくれたヴァイスにエリオットは大きく頷く。
「うん! だって、かっこいいんだもん」
エルドは照れくさそうに口の端を緩める。
「そんな風に思ってたのか。……とは言っても、父さんが猟をしてる所は見た事ないだろ?」
「前にみんなでサードおじさんに会いに行く途中で盗賊に襲われたでしょ。あの時の父さん、すごくかっこよかった! 悪い人を拳銃でバン、バン! って撃って、捕まえてさ。ヒーローみたいだった!」
エリオットが父の銃さばきに感動した、決定的な出来事だった。
サードおじさん、とは、父の双子の弟でダイディヴィス三大都市にあたる漁港都市ネジュアで精霊神官として暮らす、エリオット達の唯一の親戚である。
テロウ村からネジュアへは遠く、魔動車という魔力で動く四輪車に乗って移動するのだが、人里から離れた何もない場所では盗賊が旅客を狙って襲撃する事が度々あり、通常は傭兵などの護衛を付けて移動するのが基本である。
当時、エスロイ家も護衛を付けての移動だったが、護衛よりも早く父が盗賊を察知し、家族が襲われる前に盗賊を拳銃で一網打尽にしたのだ。
目を輝かせて話すエリオットに、エルドはデレデレとだらしなく表情を緩めた。
「そうかそうか。そんなに父さん、かっこよかったか? いやぁ、それほどでも」
父のデレデレの態度に呆れているのか、はぁ、とルイスの溜息が聞こえた。
エリオットは父が願いを聞いてくれるのではと期待を込めてもうひと押しする。
「俺もあの時の父さんみたいに、拳銃を使えるようになりたい!」
エルドはエリオットの熱意を感じ、真剣に考え込む。
「そうだな……いずれはコイツの後継者も育てないといけないしな」
そう言って、エルドは腰のベルトに装着された拳銃嚢 から、銀の拳銃を取り出して見せた。
銀の拳銃は木漏れ日を受けて、燦然 と輝く。
エルドはヴァイスに、少しふざけた口調で頼んだ。
「期待しないでほしい、とは言っておくよ」
「術を間近で見せてやるだけでも、いい経験になるさ。剣術なら尚更、飛び道具専門の俺じゃ教えられないから助かる」
エルドは村で結界塔の管理と狩猟を生業としており、狩猟に使う弓や猟銃の扱いを得意とした。
ハナトキの森に生息する猪や鹿の肉は美味と評判で外部では高額で取引され、村一番の狩猟の腕前を持つエルドは狩猟から加工までこなせる村の稼ぎ頭であり、エリオットにとっては自慢の父だ。
「父さんも銃の使い方教えてくれたらいいのに」
飛び道具専門、と聞いて、銃を習えば将来は憧れている父のように狩人として活躍できるかもしれないと連想し、自然と口から言葉がこぼれる。
兄は剣術を習うのだから、自分も何か武器が使えたら良いのに、という思いもそこにはあった。
「エリオット君はお父さんみたいに銃を使いたいんだね」
理解を示してくれたヴァイスにエリオットは大きく頷く。
「うん! だって、かっこいいんだもん」
エルドは照れくさそうに口の端を緩める。
「そんな風に思ってたのか。……とは言っても、父さんが猟をしてる所は見た事ないだろ?」
「前にみんなでサードおじさんに会いに行く途中で盗賊に襲われたでしょ。あの時の父さん、すごくかっこよかった! 悪い人を拳銃でバン、バン! って撃って、捕まえてさ。ヒーローみたいだった!」
エリオットが父の銃さばきに感動した、決定的な出来事だった。
サードおじさん、とは、父の双子の弟でダイディヴィス三大都市にあたる漁港都市ネジュアで精霊神官として暮らす、エリオット達の唯一の親戚である。
テロウ村からネジュアへは遠く、魔動車という魔力で動く四輪車に乗って移動するのだが、人里から離れた何もない場所では盗賊が旅客を狙って襲撃する事が度々あり、通常は傭兵などの護衛を付けて移動するのが基本である。
当時、エスロイ家も護衛を付けての移動だったが、護衛よりも早く父が盗賊を察知し、家族が襲われる前に盗賊を拳銃で一網打尽にしたのだ。
目を輝かせて話すエリオットに、エルドはデレデレとだらしなく表情を緩めた。
「そうかそうか。そんなに父さん、かっこよかったか? いやぁ、それほどでも」
父のデレデレの態度に呆れているのか、はぁ、とルイスの溜息が聞こえた。
エリオットは父が願いを聞いてくれるのではと期待を込めてもうひと押しする。
「俺もあの時の父さんみたいに、拳銃を使えるようになりたい!」
エルドはエリオットの熱意を感じ、真剣に考え込む。
「そうだな……いずれはコイツの後継者も育てないといけないしな」
そう言って、エルドは腰のベルトに装着された拳銃
銀の拳銃は木漏れ日を受けて、
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キーアイテム登場させよう、親子との会話を書こう、と思ったらここも予想より長くなってしまった気がします。
エルドは子煩悩だから子供に褒められるとデレまくります。
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